だに

だに
I
だに
(副助)
体言またはそれに準ずる語, およびそれらに助詞の付いたもの, 副詞などに接続する。
(1)最小限の物事・状態を取りあげて, それが限度であることを示す。 下に命令・希望・意志・打ち消し・仮定などを表す語を伴うことが多い。 せめて…だけでも。 だけでも。

「言繁み君は来まさずほととぎす汝(ナレ)~来鳴け朝戸開かむ/万葉 1499」「人しれずたえなましかばわびつつもなきなぞと~いはましものを/古今(恋五)」

(2)軽重いずれかの方向について, その程度のはなはだしい事柄・状態を取りあげて, 他を類推させる。

「すら」と同じ用法で, 中古以降のもの。 さえ。 でさえ。 「白雲のたえずたなびく峰に~すめばすみぬる世にこそありけれ/古今(雑下)」「その後永く鏡を恐れて手に~取らず/徒然 134」

(3)事態がさらにその範囲・程度を増すということを表す。

「さへ」と同じ用法で, 中世前期以降のもの。 までも。 「後生(ゴシヨウ)で~悪道へおもむかんずる事の悲しさよ/平家 1」

〔上代では, 「だに」は, 「すら」「さへ」とそれぞれ意味を分担して並び行われ, (1) の意で多く用いられた。 中古から中世前期にかけては(2) の用法が中心となり, 「すら」に代わって用いられるようになる。 中世後期になると, 「だに」は勢力を失い, 「さへ(さえ)」がこれに代わって用いられるようになる〕
すら
さえ
II
だに
(連語)
〔断定の助動詞「だ」に接続助詞「に」の付いたもの〕
(1)順接的な関係での接続を表す。 だから。

「久しぶり~, 鳥渡(チヨツト)参らうかと思ひやす/洒落本・辰巳之園」

(2)逆接的な関係での接続を表す。 なのに。

「髪結床といふものは早く起きる筈(ハズ)~, 馬鹿馬鹿しい/滑稽本・浮世床(初)」

III
だに【蜱・壁蝨】
(1)〔古くは「たに」とも〕
ダニ目に属する節足動物の総称。 一対の鋏角(キヨウカク), 一対の触肢と四対の脚を持つ。 種類はきわめて多く, あらゆる環境にすむ。 人畜に寄生して, 吸血し, 激しいかゆみを与えたり, 伝染病を媒介する種類もある。
(2)社会に寄生し, 市民に害を与えるきらわれもの。

「町の~」

IV
だに【駄荷】
駄馬につけた荷物。

Japanese explanatory dictionaries. 2013.

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